『名刺デザインとはどの様なものですか?ロゴと社名、名前や住所など文字情報だけだと思うのですが。』

bando design officeではロゴデザイン、チラシやメニューなどの紙媒体、広告デザインなど様々なデザインを行なっておりますが、その中でもメインでおこなっているのがロゴマークデザインです。

そして企業様のロゴマークをデザインさせていただく際は、名刺デザインも一緒にご依頼いただくことが多いです。(コロナ禍で対面ではなくオフラインでの商談や打ち合わせが増えている状況でも、意外と名刺デザインのご依頼は減っていません。)

ロゴマークデザインのみのご依頼をいただくお客様もいらっしゃいますが、その場合は必ずこちらから「名刺デザインはどうしますか?」とお聞きするようにしています。そうお伝えした際に、ひとりのお客様から聞かれたことが冒頭の言葉です。

その方は他にも会社を経営されており、そちらの会社の名刺はご自身で作られたそうです。Illustratorが少し使えるということで、ロゴデータさえあれば名刺は自分で作れる、という認識だったようです。
そのような背景もあり、デザイナーである私から名刺デザインの提案を受けて、自分で作るのと何が違うのか?と疑問をもたれたのだと思います。

「デザイナーがデザインする名刺とそうではない名刺は何が違うのか」

私はこのお客様に対して、日頃名刺をデザインする際に強く意識していることを踏まえて、2点お話しさせていただきました。

・シンボルマークを最大限に活かす
・文字の扱い方


今回のブログではこの2点に加え、私が名刺をデザインする際のアプローチ方法などをお伝えできればと思います。

デザインのご依頼を検討されている方にとっては、プロのデザイナーに依頼することの必要性をご理解いただけると思います。デザイナーさんにとっては、名刺をデザインする際の指標、参考になれば嬉しいです。


目次

  1. シンボルマークを最大限に活かす
  2. 文字の扱い方
  3. My基本ルール
  4. 名刺デザインは「アート」であり緻密な「デザイン」である

1.シンボルマークを最大限に活かす

名刺デザインにおいて、私が最も大切にしていることは「シンボルマークを最大限に活かす」ことです。もしお手元にどなたかの名刺があれば、どこにロゴマークが入っているか確認してみてください。左上、右上、左下、右下のいずれかに小さく入っていないでしょうか。多くの名刺がこのケースに当てはまるかと思います。



私が名刺をデザインする際に、まず一番最初に考えることが、シンボルマークをどこにどのようにレイアウトするか、ということです。ここで重要なことは、私が考えるのは「ロゴマーク」ではなく「シンボルマーク」であるということです。
(※一般的にシンボルマークとロゴタイプの組み合わせをロゴマークと呼びます)

シンボルマークは企業の「象徴」です。このシンボルマークを91mm×55mmの限られた小さなサイズの中で、どのように表現するか、ということを考えるのです。

考える際のヒントとなるのが「余白」です。シンボルマークをレイアウトした際に、どのような余白が生まれるか、ということを考えるのです。言い換えると、「どのように余白を生み出すか」ということです。生まれた余白の一部は余白のまま残し、残りの余白に文字情報をデザインします。これが私の名刺デザインの最初のアプローチです。



文字情報を入れるための余白を生み出すこと、余白そのものを生み出すこと、この2点を前提に、シンボルマークが最大限に生きるサイズと位置を考えます。

もう一つ大切なことが、このタイミングで名刺の縦or横を決めることです。どちらの方がより美しい余白を生み出すことができるかという点で、名刺の向きを決定します。

ちなみにシンボルマークが長方形や正円のように、名刺の向きによって余白の生まれ方に違いがない場合は、表面にシンボルマークのみ、裏面に文字情報を載せると美しくなることが多いです。

名刺といえば、氏名や電話番号などの情報を相手に正確に伝えることが唯一で最大の目的で、そのためにデザインをしていることがほとんどだと思います。しかし、私はそれ以上にシンボルマークのことを考えています。91mm×55mmのキャンバスの上で、シンボルマークがいきいきと存在していることが最も重要なのです。

2.文字の扱い方



シンボルマークのサイズと位置が決まったら、次に大切なことは「文字の扱い方」です。プロのデザイナーとそうでない方の決定的な違いを生むのが、この文字の扱い方ではないでしょうか。

タイポグラフィを極めることは、私自身デザイナーとしての永遠のテーマかもしれません。それくらい難しく、奥が深いものです。

また、タイポグラフィには様々な考え方があり、何かひとつの正解があるわけではありません。例えば、左揃えが美しいデザインもあれば、センター合わせが美しいデザインもあるように、どちらかが正しく、どちらかは間違っている、ということはありません。

そこで大切なことが「My基本ルール」を作るということです。様々なデザインの原則や歴史がある中で、「自分はこうするんだ」というルールを定めるのです。

上記の例で言うと、名刺をデザインする際は「原則として左揃えにする」という自分の中のルールを決めるのです。そうすることで、都度迷うことなく、美しいデザインをすることが可能になります。次の章では私が決めている「My 基本ルール」の一部を紹介させていただきます。

3.My基本ルールをもつ

※ここでのルールは、あくまで私自身が決めているルールの為、美大や専門学校で教えられるものとは異なる可能性もございますし、タイポグラフィとして間違っている可能性もございますので、予めご了承ください!

  • 左揃えにする
  • 余白は整数とする
  • 高さは「0」で合わせる
  • 「〒」は使わない
  • 電話番号に「-(ハイフン)」は使わない
  • 文字のサイズを決める

左揃えにする
文字は必ず左揃えにします。例えば下記画像の場合社名/携帯番号/メールアドレス/URLがそれぞれ左揃えになっており、また氏名(漢字/アルファベット)も左揃えとなっています。ごく稀にセンターで合わせることもありますが、基本的には左揃えとしています。



余白は整数とする
名刺の左右の端と文字との余白、名刺の上下の端と文字との余白、この余白を必ず整数にします。



例えば余白が3mmの場合と3.5mmの場合を見比べてみた場合、前者のデザインの方が圧倒的に良い、ということはないかもしれません。しかし、名刺のサイズが55mm×91mmと整数である以上、余白を整数とすることは美しさを生み出すための、ひとつのこだわるべきアプローチだと、私自身は考えています。


高さは「0(ゼロ)」で合わせる
もうひとつ重要な余白として「文字の行間」があります。複数行にわたって文字情報をデザインする場合、行間はデザインの印象を決定する非常に大切な要素です。一つのブロック内の行間は等間隔としますが、この行間を計る際に、大切なルールが「0」で合わせるということです。

名刺には漢字や数字、アルファベットなど様々な種類の文字が存在しています。同じアルファベットでも「b」「a」「g」などでは高さが全く異なります。その為、行間を決める際の文字の基準を「0」で統一するのです。



こうすることで漢字、数字、アルファベットに関わらず、整理された綺麗な行間を生むことができます。

「〒」は使わない
住所の郵便番号を記載する際に、「〒」は使用しません。使わない方が美しいと考えているからです。



電話番号に「-(ハイフン)」は使わない
こちらも同様に使わない方が美しいと考えているからです。



文字のサイズを決める
文字のQ数についても、予めルールを定めていると都度考える必要がなくなります。

私は氏名(漢字)が15pt、その他は7ptと決めています。これをベースに余白のサイズや全体の印象を見ながら、大きくしたり小さくしたり調整するようにしています。たくさん名刺をデザインして、クライアントからご要望やフィードバックをいただくことを繰り返すことで、自分の中でのベストなルールを決めることができます。

例えば「名刺 文字サイズ」などでGoogleで調べると、文字の適切なサイズを確認することができます。慣れないうちはそのサイズでデザインをして、お客様の反応や、自分自身が美しいと思えるものをインプットしていくことが良いかと思います。

4.名刺デザインは「アート」であり緻密な「デザイン」である

名刺デザインは、シンボルマークの扱い方を通したアート的な側面と、文字の扱い方を通したデザインの側面の両方を持っています。そうした意味でも、一見簡単なように思えますが、非常に難しく、またデザインを学び鍛錬する手段としては非常に良いものです。

私がロゴマークをデザインさせていただく際は、一緒に名刺もデザインさせていただくことをお勧めしています。つまり、名刺はロゴマークをデザインした本人がデザインするべきだと思っています。何故なら、初めに書いたとおり、名刺デザインではシンボルマークの「活かし方」が非常に重要になってくるからです。

シンボルマークの活かし方は、そのデザイナー自身が最も理解しているはずです。さらに言えば、デザイナーはロゴをデザインする際に、名刺に展開したらどうなるだろうか、と言うところまで考えながらデザインしています。名刺は、ロゴマーク/シンボルマークが活躍できる最大の「見せ場」なのです。

私自身が考えている名刺デザインの魅力、少しはお伝えできていたら嬉しいです。お手元の名刺、シンボルマークがいきいきとしているか、そのような視点で見てみると新たな発見があって面白いと思います。

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